サプリメントOEMは個人でもできる?原価率と最小ロットの現実

サプリメントOEMは個人・小規模でも相談できますが、最小ロット・初期費用・表示・販売設計の4つの壁があります。原価率の考え方、形状別の最小ロットの目安、始めやすい進め方、規制の注意点を整理しました。

小さな白いボトルを両手で持つ人と、ノートPC・ノート

結論:個人でも相談できますが、4つの条件があります

サプリメントを作りたい個人や小規模の事業者でも、OEMは始められます。ただし、誰でもすぐに作れるわけではありません。最小ロット、初期費用、表示・法規、販売の設計の4つを越える必要があります。

個人の方からの相談では、まずこの4つを一緒に整理します。

個人が依頼するときの4つの壁

壁1:最小ロット

工場には、1回の製造で受けられる最小の数量があります。サプリメントは形状によって、この数量が大きく変わります。個人の場合は、売り切れる数と最小ロットの差が最初の壁になります。

また、工場の中には個人との取引を受けないところがあります。私たちが発注を受けて工場へ製造委託するため、この点は相談しやすくなります。

壁2:初期費用

商品の原価とは別に、初回だけかかる費用があります。試作費、パッケージの版代、容器の型代、表示の作成費などです。小ロットほど1個あたりの負担が大きくなるため、初期費用の抑え方が重要です。

壁3:表示・法規

サプリメントは食品です。食品表示法、食品衛生法、健康増進法、景品表示法、薬機法が関わります。「効く」「治る」のような、医薬品と受け取られる表現は使えないとされています。表示とうたい方は、企画の段階で決めます。

壁4:販売の設計

作った後に、どこで、誰に、いくらで売るかが決まっていないと、在庫が残ります。ECモール、自社EC、対面のどれで売るかで、必要な数量も原価の考え方も変わります。個人で始める場合に抜けやすいのが、この販売の設計です。

原価率は「式」と「式に入らない費用」で見ます

原価率の式

原価率は、次の式で求めます。

原価率(%)= 商品原価 ÷ 販売価格 × 100

商品原価には、中身(原料・加工費)、容器・包材、ラベル・印刷、個包装の費用が入ります。工場の見積は中身だけの場合があるため、容器とラベルを足してから計算します。

原価率だけで判断しない理由

理由は3つあります。

1つ目は、初期費用が式に入らないことです。試作費や版代は、販売数で割って初めて1個あたりの負担が分かります。ロットが小さいほど、この負担は重くなります。

2つ目は、売るための費用が式に入らないことです。送料、保管料、決済手数料、広告費は、販売のたびにかかります。原価率が低くても、これらを引くと利益が残らないことがあります。

3つ目は、在庫のリスクです。原価率を下げるためにロットを増やすと、売れ残りの金額も増えます。小ロットで原価率が高くても、売り切れる方が安全な場合があります。

原価率は、販売価格と数量を決めるための目安です。数字を1つに固定せず、ロットと販路の組み合わせで比べます。

最小ロットの目安は、形状で決まります

以下は、公開されている情報から整理した目安の幅です。工場、原料、容器で大きく変わります。数量は完成品(袋・ボトル)の数で示します。

形状最小ロットの目安備考
粉末(袋・スティック)数百〜千個程度小ロットの相談がしやすい形状です
顆粒(スティック)数千個程度〜粉末より工程が増える分、ロットが大きくなりがちです
ハードカプセル千〜数千個程度原料の最小購入量に左右されます
錠剤(タブレット)千〜数千個程度打錠の試作費がかかることがあります
ソフトカプセル数千〜1万個程度設備の都合で大きなロットになりやすい形状です
液体(ドリンク・シロップ)数千個程度〜容器と殺菌の条件で費用が変わります

※ 目安の幅です。同じ形状でも、原料の最小購入量や容器の在庫で下限が変わります。見積は工場ごとに取り、内訳を確認してからお伝えします。

個人で始めるなら、粉末かハードカプセルが検討しやすい形状です。ただし、商品の狙いに合わない形状を選ぶと、売れる商品になりません。形状は、ロットと商品の狙いの両方から決めます。

サプリメントOEMで作れるものと、形状ごとの最小ロットの目安・主な初期費用は、サプリメントOEM のページにまとめています。

個人が始めやすい進め方は3つあります

1. 販路を先に決める

作る前に、どこで売るかを決めます。販路が決まると、必要な数量と販売価格の上限が見えます。その数字から、ロットと原価の目安を逆算します。

2. 既製の容器とラベルを使う

容器の型代とパッケージの版代は、初期費用の中で大きな項目です。既製のボトルや袋にラベルを貼る形にすると、この費用を抑えられます。デザインはラベルで作り込めます。

3. 小ロットで反応を見る

最初の製造は、売り切れる数に近いロットで始めます。原価率は高くなりますが、売れ残りのリスクを抑えられます。反応を見てから、2回目でロットを増やして原価率を下げます。

この3つは、私たちが相談を受けるときに最初に確認する内容でもあります。商材・想定ロット・予算感・希望時期の4点があれば、企画を始められます。

原料の規格書の横に、粉末の小皿と計量スプーンを置いた机

規制の注意点:GMP・指定成分・医薬品成分

サプリメントの規制は、2024年以降に変わっている部分があります。

製造管理(GMP):機能性表示食品は義務に

錠剤・カプセル・粉末などの形の機能性表示食品は、2026年9月1日に製造するものから、国の基準に沿った製造管理(GMP)が必要になりました。2024年の制度の見直しで決まったもので、天然の原料を濃縮・精製するなどして成分の割合を変えた原料や、合成した原料を使うものが対象です。工場がGMPに沿って作っているかを確かめるのは、届出をした会社の役目です。

機能性表示をしない一般のサプリメントでは、2026年9月時点で、GMPは国の指針に沿った自主的な取り組みです。ただし、錠剤・カプセルなどの形のサプリメントにもGMPを義務づける考え方が、2026年に国の審議会でまとまりました。グミなどは、当面は義務の対象から外す考え方です。始まる時期は、まだ示されていません。工場を選ぶときは、GMPへの対応状況を確認します。

指定成分等含有食品

国が指定した成分を含む食品は、指定成分等含有食品にあたります。その旨の表示、国の基準に沿った製造管理(GMP)、健康被害情報の届出が求められています。使う原料が該当するかは、企画の段階で見ます。該当する場合は、対応できる工場が限られます。

医薬品成分の混入回避

原料に医薬品の成分が含まれていると、食品として販売できないとされています。海外の原料や、強い効果をうたう原料は特に注意が必要です。原料の規格書を取り寄せ、成分を工場と一緒に確認します。

表示についても、食品表示法に基づく表示と、薬機法・景品表示法に触れない表現が求められます。「痩せる」「治る」などの表現は、食品では使えないとされています。

まとめ:個人でも、条件を整えれば始められます

  • サプリメントのOEMは、個人でも相談できます。ただし、最小ロット、初期費用、表示・法規、販売の設計の4つを整える必要があります
  • 原価率は式だけで見ず、初期費用・販売費用・在庫リスクを足して判断します
  • 最小ロットは形状で決まり、粉末やハードカプセルが始めやすい形状です
  • 販路を先に決め、既製の容器を使い、小ロットで反応を見る進め方が現実的です
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※ この記事の規制に関する記述は一般的な整理であり、法律の助言ではありません。個別の判断には、所管官庁の一次情報と専門家への確認が必要です。

監修

清水 優太ユニドット株式会社 代表取締役

EC・マーケティングの実務に通算10年(2016年〜)。うち、2020年9月まで飲料メーカーのブランドマネージャー、2021年3月まで日本酒酒蔵の蔵人(冬季)を経験。2021年4月に個人事業として独立し、2024年3月15日にユニドット株式会社を設立。

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